好きなものを紹介してみる
芸術感想ノートというものが私の机の上にあるのですが。本とか映画とか美術展とか、公演なんかも、色々、素敵な作品に触れて感動したときにツラツラと書いたり、チラシをスクラッピングするノートです。
ノートは人に見せれるものではないけど、感想や感動したことを人に伝えてみるのは良いのかもしれないなと思い、ゆるーく色んなものをブログに載せてみようかと思います。

年末に図書館で借りて読んだ本で、いたく感動したので、本屋で購入して母にプレゼントした本があります。
今、森さんの発言で議論が熱くなっていますが、フェミニズムに関する小説です。
フェミニズムというと、男vs女のように捉えられ、日本ではその構図をイメージして議論する人も多い気がします。
でも私は、以前読んだ本の一説にあった、「すべての人間が平等であることを望む者は皆フェミニストである」という言葉が好きです。
「全ての人間が平等であることを望みますか?」きっとこう問われたら、イエスと答える人が多いことでしょう。私も、物心ついたときからフェミニストであり、差別と平等というものへの考察を、年齢と共に、いつも繰り広げてきたのだと思います。

フランス人作家、レティシア・コロンバニの処女作『三つ編み』は、シンプルでありながら、確信をついたフェミニズム小説でした。
インド、イタリア、カナダを舞台に、一生交わることのない境遇の3人の女性の人生が、一本の糸のように編み込まれ変化していくストーリー展開がとても秀逸です。人種、階級、宗教、貧困、男尊女卑、家父長制、伝統、しきたり、キャリア、出産、病、家事労働の搾取…
今の時代に生きる多くの女性が、女性だけでなく不平等を経験したことのある全ての人が、彼女たちの境遇と受ける不平等に何かしら共感を得ることと思います。
彼女たちはその不平等にあらがい、自らの人生を自らで切り開いてゆきます。主人公は女性ですが、そこに手を差し伸べる男性たちの姿も印象的でした。
やはりフェミニズムは男vs女ではなく、思考と時代、常識との戦いなのだなと。
映画監督でもあるレティシアの言葉は詩的で、読むごとに映像としてのイメージが色彩を放つようでした。そして映画化も決まったそうで、日本にもやってくるのが楽しみです。
小難しい話のように思われそうですが、とても読みやすく引き込まれ、私は1日で読んでしまいました。それからまた2回読み直しました(笑)
この本の内容が、10年後20年後には、古臭い設定であまり共感できないな〜という時代になって欲しいと願ってやみません。そうやってあらゆる世界の平等というものが進んでいって欲しいと思います。
次作の『彼女たちの部屋』も面白いですが、
こちらはまたの機会にご紹介します。